飲み水は私たちの日常生活に欠かせない存在であり、その安全性と品質には常に高い関心が寄せられてきました。
その中でも、ミネラルウォーターは飲用水として重要な役割を担ってきたのです。
この記事では、ミネラルウォーターの歴史について詳しく解説していきます。
どのようにして私たちの生活に浸透してきたのか、その道のりをたどっていきましょう。
ミネラルウォーターは、ヨーロッパで生まれました。
当時のヨーロッパでは上下水道が発達しておらず、多くの庶民が川の水を生活用水として使っていました。
汲んできた水は汚臭がするため、主に調理用とされており、そのまま飲むということはなかったようです。
そのため、「安全安心な水を買ってでも飲む」という概念ができたのは自然な流れかもしれません。
現代のミネラルウォーターの原型は、「マルヴァーンウォーター」と呼ばれるイギリスのウスターシャー州マルヴァーンヒルズで取れる天然水です。
かつてこの水は、イングランドの王族や貴族に愛され、「どんな泉の水よりも純粋である」と高く評価されていました。
地元の食料品店がこの天然水を採取し、瓶に詰めて販売したことがきっかけで、ミネラルウォーターの歴史が始まりました。
18世紀後半に、フランスの貴族であるマルキ・ド・レッセルによってエビアン水が発見されました。
このエビアン水は「軽くて飲みやすい」と評価され、医療目的で人々に飲まれたり、入浴に利用されたりしました。
その影響で、1826年には世界初のミネラルウォーター会社が設立されました。
この会社は、私たちが想像するような飲料水を販売する会社ではなく、むしろ現代のスパに近い施設を運営するための会社でした。
飲料水を販売するのではなく、温浴や水治療を提供するために作られたものです。
19世紀に入ると、現在でも名前が知られている多くのミネラルウォーター企業が次々と設立されていきました。
20世紀に入ると、「水道水よりも安全な水」としてさまざまなミネラルウォーターが発売されるようになりました。
ウォーターサーバーの原型が生まれたのもこの時代です。
1930年代のアメリカでは、水の販売に関するビジネスが一般化し、一般市民もミネラルウォーターに親しむようになったことがわかっています。
一方、日本で最初のミネラルウォーターが製造・販売されたのも20世紀です。
1929年、現在の富士ミネラルウォーター株式会社が、富士山で採れる高品質な水を販売しました。
しかし、豊富な水資源を持つ日本ではなかなか売れず、世間からも冷ややかな目で見られていました。
ただ、高度経済成長期に入ると状況は変わりました。
水源の汚染問題により、「水道水がおいしくない」との不満の声が広がり始めます。
同時に都市部の人口が急増し、水不足が社会問題となる中で、ミネラルウォーターに注目が集まるようになりました。
人々は「美味しくて安全な水」を求め、ミネラルウォーターを購入するようになったのです。
現在、ミネラルウォーターは私たちにとって欠かせない存在となりました。
安全性だけでなく、健康に良い成分や美味しい味を求めて、さまざまな種類のミネラルウォーターが販売されています。
例として、フレーバーつきのミネラルウォーターや、炭酸入りのスパークリングウォーターなどが挙げられるでしょう。
ミネラルウォーターの国内生産統計では1990年には約15万kL(キロリットル)であったものが、2017年には国内製造と輸入品を合わせて約260万kL 、2020年には約418万kLと増え続けています。
データ引用:https://www.m-n-w.com/marionetworks_g_holder/water_plant.htm
災害への備えとしても必要不可欠なミネラルウォーター。
これからも需要はどんどん高まっていくことでしょう。