日本人であれば、誰もが日々の生活の中で水道水を利用しています。
中には、飲み水にはミネラルウォーターを使っているという方もいますが、どちらかと言うとそうした方は少数派です。
水道水は、それだけ私たちの生活に浸透しているのです。
そんな水道水ですが、これだけ身近なものであるが故に気になるのが、その安全性です。
一体、水道水の安全性とはどれほどのものなのでしょうか?
日本では水道水をそのまま飲み水として使うことが当たり前になっていますが、諸外国においては必ずしもそうではありません。
と言うよりもむしろ、水道水をそのまま飲める国の方が圧倒的少数なのです。
このことは海外旅行に行ったことのある人なら分かると思いますが、大抵の国では水を飲もうと思えばミネラルウォーターを購入するのが当たり前になっています。
しかもこれは発展途上国に限ったことではなく、先進国の中でも一部の国ではこうした状況が今も尚続いているのです。
その点、我が国では水道水をそのままの状態では飲むことができないという状況は全くないわけですから、それだけ水には恵まれているということになります。
日本は世界各国の中でも、数少ない水道水をそのまま飲料水にできる国です。
そしてその安全性は、世界でもトップクラスと言っていいほどの水準に達しています。
それを示すのが、51個にも及ぶ水質基準の管理項目です。
我が国では、この管理項目をクリアしなければ水道水として各家庭に流してはいけないということになっているのです。
この51項目の中には一般細菌や大腸菌、フッ素、鉛、カドミウムなど、人体に悪影響を及ぼす可能性のある物質が含まれており、それぞれに数値が設定されています。
そして、この数値を51項目すべてで下回る水が水道水として各家庭に届けられているのです。
そのため、日本では水道水をそのまま飲んでも健康被害が現れるということがないのです。
更に付け加えると、日本のこうした水質基準に対する意識の高さは諸外国と比べても非常に厳しいものとなっています。
まず、51の物質を管理項目としていることが諸外国では考えられないことですし、さらにそれらの基準値も国際標準と比較して低い数値になっているのです。
従って、日本の水道水の安全性は世界でもトップクラスであると言っても決して言い過ぎではないということになります。
ご存じの方も多いかもしれませんが、水道水には塩素が含まれています。
これは水道水に含まれる細菌などを消毒するために意図的に使用されているものなのですが、この塩素については人体に健康被害を及ぼすという意見があります。
確かに、塩素が動植物に一種の毒として作用することは間違いありません。
例えば、水道水を溜めたバケツに淡水魚を入れておくと、しばらくするとその魚は塩素の影響を受けて死んでしまいます。
こうしたことがあるため、人間が水道水を飲む場合にも健康被害があるのではないかという意見が出されているわけです。
しかし、水道水を飲むことが実際に人体に健康被害を及ぼすかどうかは、今のところはっきりとは分かっていません。
分かっているのは、人間以外の動植物には塩素が悪影響を及ぼすということだけです。
と言うよりもそもそも、この問題を証明することはほとんど不可能と言えます。
何故なら、特定の人間が何らかの病気を発症したとして、それが水道水に含まれる塩素が原因だとは特定できないからです。
人間は毎日、水道水以外にも様々なものを口にしているわけですから、何が原因で病気になったのかを判定するのは決して簡単ではないのです。
それに、仮に塩素が病気の原因だと特定できたとしても、その塩素が水道水から摂取されたかどうかということも簡単には判別できません。
ですから、水道水に含まれる塩素が健康被害をもたらすかどうかについては、現時点ではどちらとも言えないというのが結論となります。