上下水道の役割はあまり詳しく知られていないかもしれませんが、私たちの生活には絶対に欠かせないインフラとして存在しています。
上水道は水の供給を担い、下水道は排水・処理を行うことで、衛生の維持に貢献しているのです。
ここでは、上下水道の役割と重要性について詳しく説明します。
上水道は、清潔な飲み水を各家庭や公共施設など、人々が生活を営むところに供給する役割を果たしています。
飲料水や料理に使う水、洗濯、風呂水などで必要な水の供給元は、すべて上水道によるものです。
上水道の管理を行なっている水道局や水道事業団は、清潔かつ安全な水の供給を保証するだけではありません。
水源の持続可能性も考慮し、水の取水量や水質管理、水源の保護にも取り組み、将来の世代のことを考えた上水道運営を行なっています。
上水道の仕組みを紹介しましょう。
まず、水道局や水道事業団が水源地から取水します。
主な水源は、以下の3つです。
次に、取得した水は浄水場に送られ、不純物のろ過と殺菌処理による浄化処理が行われます。
浄化法には急速ろ過法、緩速ろ過法、高度浄水処理法の3つがあり、日本では約74%の水が急速ろ過法によって処理されているのです。
(参考:浄水器協会)
浄化処理のあと、水中の微生物を除去するための塩素消毒が行われます。
様々な処理によってきれいになった水は、配水管を通じてさまざまな場所まで届けられます。
一方、下水道はどのような役割を持っているのでしょうか?
下水道では、使用済みの水や排水を収集・処理する役割を果たしています。
衛生環境の保持と環境への負荷の軽減を目的とし、下水を適切に処理することで、水質汚染の防止や病原体の除去、河川や海洋への汚染物質の排出を防ぐことができます。
また、下水道は豪雨などの水害時にも役立ちます。
雨水を受け入れるための通路や貯留槽が設置され、地域の浸水リスクを軽減するための対策が取られています。
家庭や事業所から発生する生活排水だけでなく、産業排水も同様に下水管網に集められ、下水処理場や浄化センターで処理されます。
一次処理として、下水から固形物の除去を行います。
網や柵や沈砂池、最初沈殿池によって浮遊物を取り除き、二次処理に送るのです。
二次処理では有機物除去がなされます。
日本での主流な処理方法は、有機物を好む微生物を使う「好気性生物処理法」と、活性汚泥を使って泥と処理水に分離する「標準活性汚泥法」です。
そして高度処理では、二次処理でも処理しきれなかった有機物、浮遊固形物が取り除かれ、綺麗な水に生まれ変わります。
基準を満たした下水は、以下の場所に流されたり、再利用されたりしています。
特に、川や海に戻される下水に関しては厳格な水質検査が行われているので、心配する必要はありません。
環境を汚染しないよう、各地方自治体が目を光らせています。
上下水道は、私たちの生活において欠かせないインフラストラクチャーです。
清潔な水を提供するだけではなく、感染症の予防や、街の衛生状態の向上にも大きく寄与しています。
上下水道の整備や維持には多額の費用と労力が必要となります。
特に発展途上国では十分な上下水道インフラが整っておらず、感染症にかかって命を落としてしまう人もいるほどです。
私たちにとっても、上下水道を守ることは最重要課題となっています。
安全な水を使っていくためにも、上水道・下水道への知識や理解を深めていきましょう。